射出成形に発生する不良と対策Defective Countermeasure

プラスチック成形に関する技術説明

光産業では、プラスチックの特性について理解した
熟練の作業員が製造を担当しております

プラスチック成形では、それぞれの材料の特性を十分理解した熟練作業員が、
不良の原因とそれに合った対策を講じなければ、良好な成形品を作れません。
弊社では射出成形に関してマニュアルを作成し、成形品の不良対策を行っております。

作業員のレベルに関わらず誰でも良好な製品を作れるように日々改善を行っております。
無論のこと、成形品の不良対策を施した場合には
熟練作業員が最終確認を致します。
以下に、代表的な成形上の不良とその対策方法を紹介いたします。

代表的な成形不良現象一覧

クリックでそれぞれの項目へ移動します。

不良現象:バリ(パーティングに樹脂が流れ込む現象)

主な原因
型締圧が射出圧より低い
【原因】
  • 1:射出圧力が高い
  • 2:型締力が不足している
  • 3:材料供給量が多い
  • 4:樹脂温度が高い
  • 5:射出圧力保持が長い
  • 6:射出速度が早い
 
  • 1:金型の芯が合っていない、 パーティングライン不良
  • 2:金型プレート間に異物が附着している
  • 1:流動性が良過ぎる

【対策】

  • 1:圧力を適当にする
  • 2:型締力を上げる
  • 3:適正な供給量にする
  • 4:シリンダー温度を適温にする
  • 5:圧力保持時間を適正にする
  • 6:射出速度を遅くする
 
  • 1:パーティングを厳密に合わせる
  • 2:金型を掃除する
  • 1:材料に合った適正な成形条件をとる
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不良現象:ショートモールド(材料不足により不完全形状の成形物を生ずる現象)

主な原因
成形材料が完全充填されないで冷却固化してしまう

【原因】

  • 1:供給材料の不足
  • 2:射出圧不足
  • 3:金型温度の低過ぎ
  • 4:材料供給不良 ホッパー内での落下不良 スクリューへの喰い込み不良
 
  • 1:スプルー、ランナー、ゲートにおける抵抗大
  • 2:キャビティの流動抵抗大
  • 3:ガス抜け不良
  • 1:材料の流動性不良

【対策】

  • 1:材料供給量を適量にする
  • 2:射出圧を上げる
  • 3:金型温度を上げる
  • 4:ホッパー下部にブリッジが発生しないよう注意する
    シリンダー温度の勾配を適温にする
 
  • 1:スプルー、ランナー、ゲートの断面積を増やすか、長さを短くする
    もしくは表面仕上げを滑らかにする
  • 2:ゲートの位置を変える
    もしくは材料の流動が良くなるように形状厚みを変える
  • 1:シリンダー温度を上げる、サイクルを長くする、射出速度を上げる
    もしくは流動性の良い材料にする
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不良現象:ヒケ(成形物表面に凹み変形を生ずる現象)

主な原因
溶融材料はキャビティ内で冷却され体積収縮をおこすが、その際収縮分に相当する材料がしっかり保圧充填されていないため起こる
もしくは冷却時の収縮が不均一になっているために起こる

【原因】

  • 1:キャビティ内への材料充填圧不足
  • 2:材料供給量不足
  • 3:成形材料の冷却固化時の体積収縮が過大
  • 4:金型温度の低すぎ、または高すぎ
  • 5:冷却不足
 
  • 1:ゲート、スプルー、ランナーの細過ぎ
  • 2:ゲートの位置不良
  • 3:ゲートの大き過ぎ(キャビティより溶融材料の逆流出)

【対策】

  • 1:射出圧もしくは保圧を上げる
  • 2:材料供給量を適量にする
  • 3:シリンダーの温度を下げる
  • 4:金型温度を適温にする
  • 5:金型温度の低下または冷却時間を延長する
 
  • 1:ゲート、スプルー、ランナーを広げる
  • 2:成形物の肉厚の変化のある場合は肉厚部にゲートをつけるようにする
  • 3:ゲートを適正にする(逆流を防ぐため、背圧を上げ、計量時間を長くする)
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不良現象:シルバーストリーク(材料の流動方向に銀白色の条痕が現れる現象)

主な原因
材料の揮発分がキャビティ内部へ樹脂と共に射出された時に発生する軌跡

【原因】

  • 1:成形材料の一部が熱分解し、揮発性物質を生ずる
  • 2:材料の可塑化不足
  • 3:射出速度が速すぎる
  • 4:射出圧力の不足
  • 5:スクリューにエアーを巻き込む
  • 6:金型温度が低すぎる
 
  • 1:エアー抜き(ガス抜き)が悪い
  • 2:ゲートの位置が不適
  • 3:ゲート、ランナー、スプルーが過小
  • 1:材料の水分、その他揮発分の気化
  • 2:金型面の水また離型剤の付着
  • 3:スリップ材の混入量が多過ぎる

【対策】

  • 1:ショートショットに注意しながらシリンダー温度を下げる、
    もしくはサイクルの短縮
  • 2:可塑化を良くする
  • 3:射出速度を落とす
  • 4:射出圧力を上げる
  • 5:背圧を上げる
  • 6:金型温度を上げる
 
  • 1:ガス抜きをつくる
  • 2:ゲートの位置を再検証し、適所にする
  • 3:ゲート、ランナー、スプルーを大きくする
  • 1:材料を充分乾燥する
  • 2:キャビティ面をよくふき、水、離型剤をのぞく
  • 3:スリップ材の混入量を適量にする
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不良現象:フローマーク(成形品の表面にゲートを中心として発生する年輪状の縞)

主な原因
金型に樹脂を無理に流し込むために表面に流れの方向と直角に細い褶曲を生ずる

【原因】

  • 1:樹脂温度が低い
  • 2:射出速度が遅い
  • 3:射出保持圧が不足
  • 4:保圧時間が短い
  • 5:ノズル過少
 
  • 1:金型温度が低い
  • 2:金型の冷却が不適
  • 3:ゲート寸法が不適
  • 1:材料の流動性不良

【対策】

  • 1:シリンダー温度を上げる
  • 2:低速で射出する
  • 3:保持圧を高くする
  • 4:保圧時間を長くする
  • 5:ノズルを大きくする
 
  • 1:金型温度を高くする
  • 2:均一な冷却方法をとる
  • 3:ゲート寸法を適正にする
  • 1:適当な品種をえらぶ、グレードの再検討
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不良現象:ウェルドライン(成形物表面に生じた成形材料の融着不良現象)

主な原因
成形材料がキャビティ内を分岐したのち再び合流するとき、材料温度が低下して完全に融合せず融着不良となる

 

【原因】

  • 1:射出圧の不足
  • 2:溶融材料のキャビティ内での冷えすぎ
 
  • 1:スプルー、ランナー、ゲートにおける流動抵抗が大きい
  • 2:キャビティ内の空気抜き不良
  • 3:成形材料のキャビティ内での分流再会合のため起きる
    (ゲート位置不良叉はキャビティ形状不良)
  • 1:溶融材料の流動性不良
  • 2:潤滑剤、離型剤の使用過多

【対策】

  • 1:射出圧を上げる
  • 2:金型温度を上げる
 
  • 1:スプルー、ランナー、ゲートの断面積を大きくする
    また長さを短くする、表面仕上げを滑らかにする
  • 2:金型に充分な空気抜きをつける
  • 3−1:ゲートの位置を変える
  • 3−2:キャビティの構造を分流、再会合のないように変える
  • 3−3:ランナーの屈曲部のところに過冷材料の溜り
    (コールドスラッグウエル)を設ける
  • 1:シリンダー温度を上げる、サイクルを長くする、流れの良い材料に変える
  • 2:潤滑剤、離型剤の使用量を適当にする
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不良現象:ボイド(成形品の樹脂内部が収縮して真空の空隙を生じる現象)

主な原因
肉厚部分の表面が先に固化し収縮できない場合に、内部に真空気泡が発生する

【原因】

  • 1:射出圧もしくは保圧の不足
  • 2:金型温度が低すぎる
  • 3:射出温度が高すぎる
 
  • 1:ゲート位置が不適切
  • 2:肉厚が厚すぎる
  • 1:材料の水分、その他揮発分の気化

【対策】

  • 1:射出圧もしくは保圧を上げる
  • 2:金型温度を上げる
  • 3:射出温度を下げる
 
  • 1:ゲート位置を見直し、肉厚部に直角に射出するように修正する
  • 2:偏肉をなくし、肉厚を薄くできる場合には薄くする
  • 1:材料の予備乾燥を十分に行う
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不良現象:反り(離型後に曲がりやねじり変形が起きる現象)

主な原因
充填された樹脂の収縮が不均一

【原因】

  • 1:射出圧力が低く、射出速度が遅い
  • 2:射出・保圧時間が短い
  • 3:冷却時間が短い
  • 4:金型温度が高い
  • 5:キャビティとコアの金型温度格差が大きい
 
  • 1:離型性が悪い
  • 2:突き出しピンの位置・サイズが不適当
  • 3:ゲートが広いまたは位置が不適当
  • 4:冷却配管が不適当
  • 1:材料の流れが悪い
  • 1:成型品の肉厚変動が大きい

【対策】

  • 1:射出圧力を高く、射出速度を早くする
  • 2:射出・保圧時間を長くする
  • 3:冷却時間を長くする
  • 4:金型温度を下げる
  • 5:金型温調機で、コアとキャビティを個別に制御する
 
  • 1:テーパーを充分とり、最悪の場合は離型剤を塗布する
  • 2:エジェクトの方式を含めて、離型方法の適正化
  • 3:ゲートサイズを適正にする
  • 4:冷却方法を適当にする
  • 1:流動性の良い材料を使用する
  • 1:成型品の肉厚が均一になるように設計変更する
  • 2:シャープエッジにRをつける
    肉厚tに対して、外角R=1.5t 内角R=0.5tが理想
  • 3:リブを追加して反りに対する補強をする

※離型後に矯正治具を用いてアニール処理を行う、またその両方を行うこともある

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不良現象:クラック・キズ(成形品の表面に細い線状のひびや割れが発生する現象)

主な原因
成形品に内部応力があるために発生する

【原因】

  • 1:射出・保持圧力が高い
  • 2:射出速度がはやい
  • 3:金型温度が低い
  • 4:冷却時間が短い
  • 5:型締圧力が不足
  • 6:金型に塗布した離型剤中の溶剤
  • 7:型開き速度が速い
  • 8:突き出し速度が速い
 
  • 1:離型性が悪い
  • 1:成形品が構造上歪みやすい

【対策】

  • 1:射出・保持圧力を下げる
  • 2:射出速度を遅くする
  • 3:金型温度を上げる
  • 4:冷却時間を長くする
  • 5:型締圧力を適正にする
  • 6:離型剤の使用中止または
    クレージングに影響のない離型剤に変える
  • 7:型開き速度を遅くする
  • 8:突き出し速度を遅くする
 
  • 1:テーパーを充分とる
  • 1:肉厚の急変とシャープエッジをさける
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